積立投資の運用状況、どう確認する?初心者向け評価のポイント
はじめに:積立投資、始めてみたけれど…
「老後資金の準備や将来のために、積立投資を始めてみた」という方もいらっしゃるかもしれません。しかし、「始めたのは良いけれど、毎月積立てられているか確認するだけで、他に何を見たら良いのだろうか?」「増えているのか減っているのか、どう評価すれば良いのか分からない」といった疑問をお持ちではないでしょうか。
特に投資が初めての場合、日々変動する数字を見て一喜一憂してしまったり、不安になったりすることもあるかもしれません。堅実な資産形成を目指す上で、積立投資の運用状況をどのように確認し、評価すれば良いかを知っておくことは大切です。
この記事では、積立投資を始めたばかりの方が、ご自身の運用状況を適切に把握し、長期的な視点で評価するためのポイントを分かりやすく解説します。
運用状況はどこで確認できる?
積立投資の設定が完了すると、毎月自動的に指定した金融商品(多くは投資信託)が購入されていきます。ご自身の運用状況を確認するには、積立投資を設定した金融機関(証券会社や銀行など)のウェブサイトやスマートフォンアプリを利用するのが一般的です。
ログイン後、「保有商品一覧」や「資産状況」といった項目に進むと、現在保有している金融商品の一覧や、それぞれの評価額、買付金額、損益などが表示されています。
確認すべき主な項目としては、以下のようなものがあります。
- 評価額合計: 保有している全ての金融資産の現在の価値合計です。
- 買付金額合計(元本): これまで積み立てた金額の合計です。
- 損益合計: 評価額合計から買付金額合計を差し引いた金額です。プラスなら利益、マイナスなら損失が出ている状態です。
- 損益率: 買付金額合計に対する損益合計の割合です。
これらの数字を見れば、現在の資産全体がいくらになり、元本に対してどれくらい増減しているかが分かります。
運用状況はどのくらいの頻度で確認すべきか?
「毎日チェックした方が良いのだろうか?」と考える方もいらっしゃるかもしれません。しかし、積立投資は長期的な視点で行う資産形成です。日々の価格変動は短期的なものであり、それに一喜一憂する必要はありません。
むしろ、毎日のように価格をチェックしていると、一時的な下落に動揺してしまい、本来の目的である長期的な積立を続けられなくなるリスクがあります。
初心者のうちは、運用状況を確認する頻度としては、月に一度や四半期に一度程度で十分です。給与が入ったタイミングや、ボーナス時期など、ご自身のライフイベントに合わせて定期的に確認する習慣をつけるのが良いでしょう。年末にまとめて確認するのも一つの方法です。
大切なのは、頻繁なチェックではなく、定期的にご自身の資産状況を把握することです。
運用状況を評価する上での重要なポイント
さて、数字を確認した際に「思っていたより増えていない」「マイナスになっている」と不安になることがあるかもしれません。積立投資の運用状況を評価する上で、特に以下のポイントを意識してください。
短期的な値動きに惑わされない
投資の世界では、株価や投資信託の基準価額は常に変動しています。特に世界情勢や経済のニュースによって、一時的に大きく下落することもあります。
しかし、積立投資は「ドルコスト平均法」という考え方に基づき、価格が高い時には少なく、価格が低い時には多く購入することになり、長期的に見れば平均購入単価を抑える効果が期待できます。一時的な下落は、安く購入できるチャンスと捉えることもできます。
数ヶ月や1年といった短期間の成績だけで、積立投資の成否を判断することは適切ではありません。
大切なのは「目標」に対する進捗
積立投資は、多くの場合、老後資金や教育資金といった将来の特定の目標のために行われます。運用状況を評価する際に最も重要なのは、設定した目標に対して、現在のペースで問題なく進んでいるかという視点です。
例えば、「20年後に〇〇円を準備したい」という目標があるなら、現在の評価額がその目標達成に向けたロードマップ上でどの位置にあるのかを確認します。一時的にマイナスになっていても、目標までの期間が十分にあるのであれば、慌てる必要はありません。
運用状況の確認は、あくまで目標達成のための手段として捉えましょう。
損益がマイナスでも慌てない理由
運用状況を見て、損益がマイナスになっていると心配になるのは自然なことです。しかし、特に運用を開始して間もない時期や、市場全体が下落している局面では、一時的にマイナスになることは十分に起こり得ます。
積立投資においては、マイナスになっている状態でも積立を続けることで、安い価格で多くの口数を購入できます。価格が回復した際には、この安値で購入した分がその後のリターンを押し上げる要因となります。
重要なのは、一時的なマイナスに動揺して積立を止めたり、売却してしまったりしないことです。むしろ、このような時こそ淡々と積立を続けることが、長期的な成功につながる鍵となります。
長期的な視点を常に持つ
積立投資の効果が最も発揮されるのは、長期にわたって続けることです。日々の価格変動に一喜一憂せず、数年、数十年といった長い目で資産の推移を見守ることが大切です。
過去の歴史を見ても、市場は短期的な下落を繰り返しながらも、長期的には成長を続けてきました。複利の効果も、期間が長くなるほど大きくなります。
運用状況を確認する際には、現在の数字だけでなく、過去数年間の推移をグラフなどで確認し、長期的なトレンドを把握するように努めましょう。
必要に応じて見直しを検討するタイミング
原則として、一度始めた積立設定は、長期的な目標達成のために継続することが推奨されます。しかし、以下のような場合には、運用状況を確認する際に設定の見直しを検討しても良いかもしれません。
- ライフプランの変化: 結婚、出産、住宅購入、転職など、ご自身の人生設計に大きな変化があった場合。目標金額や積立金額を見直す必要があるかもしれません。
- 経済状況の大きな変化: 金利が大きく変動したり、自身の収入が大幅に増減したりした場合。積立金額やポートフォリオのバランスを調整することも考えられます。
- 積立対象の状況の変化: 投資している投資信託の運用方針が変わったり、信託報酬(運用にかかるコスト)が引き下げられたりした場合。より良い商品がないか比較検討することも有効です。
ただし、これらの見直しも、短期的な市場の動きに反応して行うのではなく、冷静な判断に基づき行うことが重要です。
まとめ:運用状況確認は、長期的な旅路の一歩として
積立投資の運用状況を確認することは、ご自身の資産がどのように成長しているのかを知るための大切なステップです。しかし、その数字に一喜一憂しすぎず、長期的な視点と目標達成という本来の目的を常に意識することが大切です。
- 定期的に(月1回〜四半期に1回程度)運用状況を確認し、資産の全体像を把握しましょう。
- 短期的な価格変動に動揺せず、長期的な目標に対する進捗を評価基準としましょう。
- 一時的なマイナスは、積立投資においては必ずしも悪いことではないと理解しましょう。
- 必要に応じて、ライフプランの変化などを機に見直しを検討しましょう。
積立投資は、時間を味方につける堅実な資産形成方法です。運用状況の確認は、この長期にわたる旅路における現在地を確認するようなものです。焦らず、じっくりと、ご自身の資産を育てていきましょう。
もし、運用状況を見て不安を感じたり、判断に迷ったりすることがあれば、信頼できる情報源から学びを深めることも大切です。この記事が、あなたの積立投資の運用状況確認に役立つ一助となれば幸いです。