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積立投資は市場の下落時こそ続けるべき?その理由と対処法

Tags: 積立投資, 市場下落, ドルコスト平均法, 長期投資, 資産運用, 初心者

市場の下落、積立投資家はどう向き合うべきか

ニュースなどで市場の価格が下がっていると聞くと、不安を感じる方もいらっしゃるかもしれません。特に、これから資産形成を始めようと考えている方や、始めたばかりの投資初心者の方にとっては、「このまま積立投資を続けて大丈夫なのだろうか」と心配になるのは自然なことです。

低金利が続く現状において、資産を少しでも効率的に増やしたいと考え、積立投資に興味をお持ちになった方も多いでしょう。将来の老後資金への漠然とした不安を解消するために、堅実な方法として積立投資を選ばれた方もいらっしゃるかもしれません。

しかし、いざ投資を始めてみると、市場価格は常に変動しており、時には大きく下落することもあります。このような状況で、積立投資をどのように考え、行動すれば良いのでしょうか。この記事では、市場の下落局面における積立投資の考え方と、取るべき具体的な対処法について解説します。

積立投資と市場変動の関係性

まず知っておくべきは、市場価格が変動することはごく自然なことであるという点です。経済状況や企業の業績、あるいは世界情勢など、様々な要因によって価格は日々、そして長期的に変動します。積立投資は、この「変動」を前提とした資産形成手法と言えます。

積立投資の基本的な仕組みは、毎月(あるいは毎週など)決まったタイミングで、決まった金額分の金融商品(例えば投資信託)を購入していくというものです。この「定額購入」という点が、市場変動において重要な意味を持ちます。

価格が高いときには購入できる口数(数量)は少なくなりますが、価格が下がったときには、同じ金額でより多くの口数を購入することができます。これは「ドルコスト平均法(Dollar Cost Averaging)」と呼ばれる考え方に基づいています。長期にわたって積立投資を続けることで、購入価格が平均化され、高値掴みのリスクを低減する効果が期待できます。

つまり、市場が下落している局面は、これまでより「安く」投資信託などを購入できる時期と捉えることもできます。これは、将来市場が回復した際に、より大きなリターンを得るための「仕込み時」となる可能性があるということです。短期的な価格の下落に一喜一憂するのではなく、長期的な視点を持つことが積立投資においては非常に重要になります。

市場下落時に取るべき対処法と心構え

市場が下落している状況で、積立投資家としてどのように行動するのが望ましいのでしょうか。いくつかの対処法と心構えをご紹介します。

1. 積立投資を「続ける」ことの重要性

市場が下落すると不安になり、積立を止めてしまいたくなるかもしれません。しかし、前述のドルコスト平均法の効果は、「続けること」によって最大限に発揮されます。積立を止めてしまうと、価格が安い時期に多く購入する機会を逃すことになり、ドルコスト平均法のメリットを享受できなくなってしまいます。

感情的にならず、当初立てた計画通りに積立を続けることが、長期的な資産形成においては非常に有効な戦略となります。特に、すぐに使う予定のない資金で積立投資を行っている場合は、市場が下落しても慌てる必要はありません。

2. ポートフォリオを見直す(ただし慎重に)

投資を始めた際に設定した資産配分(ポートフォリオ)が、今の状況や自身の目標、リスク許容度と合っているか、冷静に確認することは大切です。例えば、当初想定していたよりもリスクを取りすぎていたと感じる場合は、資産配分の見直しを検討しても良いかもしれません。

ただし、市場が大きく動いている最中に、感情的に頻繁な売買や大幅なポートフォリオ変更を行うことは避けるべきです。基本的には、積立投資を始めた際の長期的な目標や計画に立ち返り、必要最低限の見直しに留めるのが賢明です。投資初心者の方は特に、焦って複雑な操作をしないよう注意が必要です。

3. 不安を煽る情報との向き合い方

市場が下落している時は、ネガティブなニュースや過度に不安を煽る情報が増えがちです。そのような情報に振り回されず、冷静さを保つことが重要です。

信頼できる情報源(金融機関の公式情報、専門家による分析など)から、客観的な情報を得るように心がけましょう。また、自分の資産状況を頻繁に確認しすぎると、短期的な値動きに一喜一憂しやすくなります。必要以上に毎日の価格変動を追わないことも、精神的な安定につながります。

4. 自分のリスク許容度と資金計画を再確認

改めて、ご自身の投資目的、目標とする金額、いつまでにその資金が必要かといった点を振り返ってみてください。そして、現在の積立額が、生活費や将来必要な他の資金を圧迫していないか、無理のない範囲で行えているかを確認しましょう。

もし、市場の下落によって精神的な負担が大きすぎるのであれば、もしかすると当初設定したリスク許容度を超えているのかもしれません。その場合は、積立金額を一時的に減らすなど、無理のない範囲に調整することも選択肢の一つです。ただし、これも感情的な判断ではなく、計画に基づいて行うべきです。

市場下落時のリスクと注意点

市場の下落局面において、いくつか注意すべき点があります。

まとめ

積立投資における市場の下落は、避けられない局面であり、むしろ長期的な視点で見れば資産を増やすための「チャンス」となる可能性も秘めています。

大切なのは、市場の下落に動揺せず、感情的な判断に流されず、当初設定した長期的な計画に基づいて「積立を続ける」ことです。ドルコスト平均法の効果を活かし、価格が低い時期に多くの口数を購入することが、将来の資産増加につながる可能性を高めます。

不安を感じたときは、この記事で解説した対処法や心構えを参考に、ご自身の投資目的や計画に立ち返ってみてください。冷静な判断と継続こそが、積立投資による堅実な資産形成の鍵となります。