積立投資で選ぶべきは?初心者向け投資信託の選び方と種類を解説
はじめに:積立投資で「何を選ぶか」の重要性
将来に向けた資産形成の必要性を感じ、積立投資に関心をお持ちの皆様にとって、次に浮かぶ疑問は「具体的に、どのような金融商品を選べば良いのだろうか?」ということかもしれません。低金利が続く現状では、貯蓄だけでは資産を増やすのが難しいことは理解しているものの、いざ投資を始めようとすると、その種類の多さや複雑さに戸惑うことも少なくないかと思います。
特に、投資初心者の方にとって、数ある選択肢の中から自分に合ったものを見つけ出すのは容易ではありません。しかし、積立投資の効果を最大限に引き出し、着実に資産を形成していくためには、「何を選ぶか」という最初のステップが非常に重要になります。
この記事では、積立投資の対象として代表的な「投資信託」に焦点を当て、その基本的な種類や、投資初心者の方が金融商品を選ぶ際に知っておくべきポイントを分かりやすく解説いたします。複雑な知識は必要ありません。シンプルで堅実な資産形成のために、ぜひ最後までご覧ください。
そもそも投資信託とは何か?なぜ積立投資に向いているのか
投資信託とは、多くの投資家から集めた資金を一つにまとめ、運用の専門家が株式や債券などの複数の金融商品に分散投資する仕組みの金融商品です。運用によって得られた利益は、それぞれの投資額に応じて投資家に分配されます。
投資信託が積立投資、特に初心者の方の資産形成に向いている理由には、以下のような点が挙げられます。
- 少額から始められる: 多くの投資信託は100円や1,000円といった少額から購入できるため、まとまった資金がなくても始めやすい点がメリットです。
- 分散投資がしやすい: 投資信託は最初から複数の資産に分散投資されているため、個別の銘柄を選んだり、自身で分散投資のバランスを考えたりする手間が省けます。リスクを抑える上で重要な「分散」を手軽に実現できます。
- 専門家による運用: 運用の専門家が投資判断や資産の管理を行います。日々の市場動向を細かくチェックする時間がない方にとっても取り組みやすい方法です。
- 積立買付との相性が良い: 積立投資は、決まった金額で定期的に購入する方法です。投資信託はこの積立買付に対応しており、手間なく継続的に購入できます。
投資信託の主な種類:インデックスファンドとアクティブファンド
投資信託には様々な分類方法がありますが、運用方法の違いによって「インデックスファンド」と「アクティブファンド」に大きく分けられます。積立投資で利用される投資信託の多くは、このいずれかに該当します。
インデックスファンド
インデックスファンドは、日経平均株価や東証株価指数(TOPIX)、米国のS&P500、全世界の株式市場の動きを示す指数など、特定の「インデックス(指数)」に連動した運用成果を目指す投資信託です。
- 特徴:
- 特定の市場全体の平均的な動きに連動することを目指します。
- 機械的な運用が中心となるため、運用にかかるコスト(信託報酬など)が比較的低い傾向にあります。
- 値動きが分かりやすく、長期的な市場全体の成長の恩恵を受けやすいと考えられています。
- メリット:
- 低コストで運用できる。
- 市場平均並みのリターンが期待できる。
- 透明性が高い。
- デメリット:
- 市場平均以上の大きなリターンは期待できない。
アクティブファンド
アクティブファンドは、特定のインデックスを上回る運用成果(リターン)を目指す投資信託です。ファンドマネージャーと呼ばれる専門家が、綿密な調査・分析に基づき、組み入れる銘柄や売買のタイミングなどを積極的に判断して運用を行います。
- 特徴:
- 市場平均を上回る「アルファ」と呼ばれる超過リターンの獲得を目指します。
- 専門家による積極的な運用を行うため、運用にかかるコスト(信託報酬など)はインデックスファンドよりも高くなる傾向にあります。
- ファンドマネージャーの腕によって運用成績が大きく左右される可能性があります。
- メリット:
- 市場平均を上回るリターンを得られる可能性がある。
- デメリット:
- コストが高い傾向がある。
- 必ずしもインデックスを上回る成績が出るとは限らない。
- 運用成績がファンドマネージャーや運用会社の力量に依存する。
初心者にはどちらが向いているのか?選び方のヒント
投資初心者の方や、複雑な商品選びを避けたいと考える方には、一般的にインデックスファンドが推奨されることが多いです。その主な理由は、以下の通りです。
- 低コストであること: 長期投資においては、運用コストの差が最終的な成果に大きく影響します。インデックスファンドはコストが低いものが多く、長期で保有する積立投資との相性が良いと言えます。
- 市場全体の成長に期待できること: 特定のインデックスに連動するため、個別企業の調査は不要です。世界の経済や市場は長期的に見て成長を続ける傾向があるため、その恩恵を享受しやすいと考えられます。
- シンプルで分かりやすいこと: 運用方針が明確で、値動きも追跡しやすい点が初心者にとって取り組みやすい要素となります。
もちろん、アクティブファンドの中にも優れた成績を上げているものは存在しますが、数多くのファンドの中から長期的に良い成績を出し続けるものを見つけるのは難しく、またコスト負担も考慮する必要があります。まずは、低コストのインデックスファンドから積立投資を始めてみるのが、堅実な一歩と言えるでしょう。
投資信託を選ぶ際の具体的なポイント
インデックスファンドを選ぶ際にも、いくつか確認すべきポイントがあります。
- コスト(信託報酬): 最も重要なポイントの一つです。投資信託を保有している間にかかる運用管理費用であり、この比率が低いほど、長期的に手元に残る利益は大きくなります。複数の候補を比較し、より低い信託報酬のファンドを選びましょう。
- 連動対象となるインデックス: どのような資産クラス(国内株式、先進国株式、新興国株式、全世界株式、国内債券、先進国債券など)の、どのような指数に連動しているかを確認します。自身の投資目標やリスク許容度に合わせて検討が必要です。例えば、世界の成長を取り込みたいなら「全世界株式」、米国の成長に期待するなら「S&P500」などがあります。複数の資産に分散投資したい場合は、様々な資産がバランス良く組み込まれた「バランス型ファンド」も選択肢となります。
- 純資産総額: その投資信託がどれくらいの規模で運用されているかを示します。純資産総額が大きいファンドは、多くの投資家から支持されており、運用が安定している一つの目安となります。(ただし、規模だけで運用成績が決まるわけではありません。)
- 資金流出入の状況: 資金が継続的に流入しているファンドは、安定的な運用につながる可能性があります。
- 運用会社・販売会社: 信頼できる金融機関が運用・販売しているかどうかも確認しておきましょう。
これらのポイントを踏まえ、ご自身の目標やリスク許容度に合ったファンドを探してみてください。多くの金融機関のウェブサイトや比較サイトで、これらの情報を確認することができます。
投資信託のリスクとどう向き合うか
投資信託は預金とは異なり、元本が保証されている金融商品ではありません。市場の変動によって、投資した金額を下回る(元本割れする)リスクがあります。主なリスクとしては、以下が挙げられます。
- 価格変動リスク: 投資対象である株式や債券の価格が変動することにより、投資信託の基準価額も変動するリスクです。
- 為替変動リスク: 海外の資産に投資している場合、為替レートの変動によって資産の円換算価値が変わるリスクです。
- 信用リスク: 投資対象の債券の発行体や、投資信託の運用会社・販売会社が破綻するリスクです。
これらのリスクを完全に回避することはできませんが、積立投資においては「長期・積立・分散」という方法でリスクを抑える効果が期待できます。
- 長期: 短期的な価格変動に一喜一憂せず、長い時間をかけて投資することで、リスクがならされ、複利効果によって資産が増える可能性が高まります。
- 積立: 定期的に一定額を購入することで、価格が高い時には少なく、価格が低い時には多く購入することになり、結果として平均購入価格を抑える効果(ドルコスト平均法)が期待できます。
- 分散: 複数の資産、地域、通貨に投資することで、どれか一つの価格が大きく下落しても、全体の資産への影響を抑えることができます。投資信託は、この分散投資を比較的容易に実現できる商品です。
投資信託を選ぶ際にも、一つの資産クラスに集中しすぎず、複数のインデックスファンドを組み合わせたり、バランス型ファンドを選んだりすることで、分散効果を高めることを検討する価値はあります。
まとめ:最初の一歩として投資信託選びをシンプルに考えよう
積立投資による資産形成において、投資信託は非常に有効な選択肢の一つです。特に、手軽に分散投資を始めたい初心者の方には適した金融商品と言えます。
数多くの投資信託の中から何を選ぶべきか迷うかもしれませんが、まずは「インデックスファンド」を中心に検討し、その中でも「コスト(信託報酬)」が低く、「ご自身の目標に合ったインデックス(連動対象)」を選んでみることから始めてはいかがでしょうか。
難しく考えすぎず、シンプルに考えることが継続の鍵となります。まずは情報収集から始め、一歩ずつ資産形成の道のりを進んでいきましょう。